「2024年度防災教育交流フォーラムの様子」
去る2024年10月12日(土)と10月20日に、『2024年度防災教育交流フォーラム』が開催されました。
10月12日の中間報告会は、あらかじめ視聴した実践団体の活動発表動画を中心に、現在の活動における課題共有やこれからの方針など、実行委員、実践団体をはじめとした参加者でのディスカッションを行いました。
10月20日は、ぼうさいこくたい2024と連携し、防災教育交流会を開催しました。『防災教育の推進~DX技術を活用した学びの変化』と題して、熊本城ホールから防災教育分野代表者による基調講演とパネルディスカッションを行いました。
下記に、防災教育交流フォーラムの様子をご報告いたします。
【中間報告会】
■ 開会挨拶
開会挨拶では、後藤 隆照様(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当))より下記の通りご挨拶いただきました。
「このチャレンジプランは2004年から始まり、20年経っております。20年前と言いますと、新潟県中越地震がありました。その後、東日本大震災や熊本地震、能登半島地震など、地震だけでも数多く発生しており、水害や火山の噴火などたくさんの災害がございます。災害に遭われた方、被災された方のお話を伺いますと、災害は事前防災がいかに大事かというのを考えさせられます。このようなチャレンジプランを通して、いろんな工夫をしていただいていますが、自分の身だけでなく、ご家族や地域の方などを守るためには、このような活動が大事になっています。
本日の中間発表では、実践団体の皆様に事前にビデオを作成いただきました。拝見させていただきましたが、例えば、避難訓練を始めゲームの形式であるとか、被災された高齢者へ聞くとか、バーチャル空間を使った取り組みとか、震災遺構で勉強するとか、いろんな形式でチェレンジをされていらっしゃいます。いずれも非常に素晴らしい取り組みをされていらっしゃるので、ぜひ中間報告会を通じて、他の団体がどのようなことをしているのか、それをぜひ自分たちの活動にも取り入れていただいて、よりよい取り組みをしていただくために、いろんな意見交換をしていただければと思います。本日、実りのある会になりますよう祈念いたしまして、挨拶とさせていただきます。」
木村玲欧委員長(防災教育委員会実行委員長)から、下記の通りご挨拶いただきました。
「皆さんの活動動画を見せていただきました。ほんとにさまざまな活動をしていただいて、見ながら勉強しながら、心強く思いました。日々、ご活動いただいていることに心から感謝申し上げます。中間報告会は、コロナ前までは対面で行っていました。今はオンラインで行っています。対面の方が細かい話ができたりとかいい点もあるんですけれども、なかなか会場まで足を運んでとなると、参加者が少なくなってしまう、各団体1名しか来られないということで、今ではオンラインでたくさんの人に遠隔で参加していただき議論をする。時間もしっかり節約しながら、実のある内容の濃い議論をするために、事前に動画を確認していただいて中間報告を行っております。いろんなご発表や議論していきたいと思っているんですが、2つのことを期待しています。1つ目は、皆さんのそれぞれの課題を、チャレンジをさらにより良いものにしていただきたいと願っています。中間報告会は、進捗具合を調整していただいて、応募していただいたプランをより良いものにするための議論を目的として行っています。中間報告会の内容がどうだったか、それが最終的な評価につながるわけではなくて、ここまでできた、こんなことをしようと思っているがなかなかできない、そのようなことをざっくばらんにお話しいただいたり相談いただいたりする場にしていきたいので、活発な議論をしていただきたいと思っております。期待している2つ目は、個々のチャレンジも大切であるが、我々は敵ではないため、一緒に盛り上げてく、日本の世界の防災をよりよくしていくために、私たち一人ひとりの力で何ができるのか、一緒に考えていく仲間としてこれからもつながっていきたいと思っています。今日は交流の機会でもあります。これからブースに分かれて議論していただきますが、疑問に思ったことは積極的に質問していただく、実践団体の方も実行委員会の方も、それ以外の方も、気になることがあれば質問や議論をしていただきながら、より良いもの、高みを目指していく時間にしたいと思っています。限られた時間ではありますが、活発な議論に発展することを願っておりますので、皆さんのご参加の程よろしくお願いいたします。」
■ 防災教育チャレンジプラン実践団体発表
中間報告会は、2020年度防災教育チャレンジプランに取り組んでいる実践団体(12団体)が、新型コロナ禍での活動経過や今後の課題をzoomによるブレイクアウトルーム形式で共有し、実行委員からのコメント等をもとに2月の活動報告会までの活動をより良くすることを目的に開催されました。
実行委員からのコメントは各実践団体へコメントシートとして後日配布され、良かった点や改善点、アドバイスなどが伝えられました。
木村玲欧委員長(防災教育委員会実行委員長)から、下記の通りご挨拶いただきました。
「いろんなブレイクアウトルームを見させていただきましたが、皆さん各セッションの中で議論していただいたことで、たくさんの学び、考えられたことと思います。ひとつだけお願いをするならば、ぜひこの連携・つながりを今後考えながらさらに進めていただければと思っています。この連携・つながりというのは、皆さんの各プランの団体や、地域の方のつながりを一層深めていくというつながりももちろんありますが、この中間報告会で集まりつながったのも何かのご縁です。皆さんの団体同士のつながりを今後一層深めていってほしいと願っています。良いものはリスペクトして引用する、すなわちパクる、いいなと思ったものは積極的に自分の中に取り入れ、さらにいいプランにしていただければと思います。チャレンジプランは今後最終報告会に向かっていく中で、皆さんの「のびしろ」を見ていきたいと思っているため、今日をいいきっかけに、さらにステップアップした実践にしていただきたいと思います。」
最後に閉会の挨拶として、後藤 隆照様(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当))より「皆さんのブレイクアウトルームを拝見させていただきましたが、いろんな面白い取り組みがあって、特に印象に残ったのが、どうやって中学生を戦力として巻き込んでいくか、保護者をうまく巻き込んだ取り組みとか、いろんな形で地域の方とかをどんどん巻き込んでいくやり方が面白いなと思いました。それが地域の防災力にもつながっていく、大変興味深い取り組みをたくさん拝見しまして、時間があれば全部見たいくらいでした。これまでのチャレンジプランは学校の教育現場のご参加が多かったのですが、学校に限らず、地域のいろんな団体などのチャレンジも募集しておりますので、いろんな形で、実行委員会の皆様からお声掛けいただけると、次年度のチャレンジもより盛り上がっていくと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。この場でできたつながりを活用して、より良い防災教育、防災教育につなげていっていただきたいと思います。」とお話しいただきました。
なお、今年度の最終的な成果報告は、2025年2月8日(土)に開催する予定です。
【防災教育交流会】
■ 開会挨拶
開会挨拶では、後藤 隆照様(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当))より、下記の通りご挨拶をいただきました。
「今年度は防災教育のDX化に重点を置いており、コロナ禍において、学校現場でもDXやICT化が進んでおりますので、防災教育の分野でもDX化を進めるチャンスであり、そのようなチャレンジを応援していきたいと思っております。特に、熊本県は防災教育のDX化が非常に進んでいると聞いておりまして、取り組みのお話を伺えるのと楽しみにしております。」
続いて、木村 玲欧様(防災教育実行委員会 委員長)より、下記の通り本会開催の趣旨をご説明いただきました。
「今日はしっかり新しいことも学べる時間にしたいと思います。DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を使って便利にするだけでなく、さらに一歩深い災害対策や防災教育にしていきましょうという技術でございます。例えば、災害時にドローンを使って人が入れないような場所の被害状況を確認することができる、教育現場ではデジタル教科書を使うことで紙資源の節約だけでなく動画でより深く知ることができるなどの例が挙げられます。今日の事例紹介をいただく方々も、いろんな形でDX技術を防災活かそうと頑張られている方なので、ぜひ皆様の日頃の活動の参考にしていただき、実りある会にしたいと思います。」
■ 事例紹介
<事例紹介>
○前田 優様(株式会社リリーフ(アネシスグループ) 代表取締役)、木下 裕之様(株式会社アネシス経営戦略本部 DX推進グループ 部長)
住宅会社アネシスが行っている防災活動として、災害対策マニュアルの電子化・動画、社員専用/オーナー様専用ホームページの制作および情報の集約、ハザードマップの見える化、災害時に限定した社員の位置情報の取得体制の構築、LINEを活用した防災連絡・被害相談の構築、建設中物件における現場専用カメラの活用による災害時の被害状況のリアルタイム確認体制の構築などをご紹介いただきました。さらに、オーナー様への被害確認や緊急訪問時の具体的な活用事例や、分譲地内に井戸やベンチを設置する街づくり、災害時に対応できる職人さんが不足することを想定した全国の公務店との相互協力体制の構築についてもご紹介いただきました。
○村上 陽明様(熊本市教育委員会 健康教育課 学校安全班指導主事)
熊本地震を受け、熊本市がどのように防災教育を進めてきたかご紹介いただきました。 防災副読本「つなぐ」の作成(紙・デジタル)、熊本市緊急連絡アプリ「コンタ君」、企業と連携した防災学習(ソフトバンク社の人型ロボットペッパーを活用した防災授業)、熊本市消防局との連携による体験型防防災学習、1953年に白川の大水害を経験された方の話を聞くなど地域人材を活用した取組、「熊本アプリ」の災害時の活用推進について、それぞれ具体的内容も交えながらご紹介いただきました。また、あくまでDXはツールの1つであり、使うことが目的ではなく、より効率的な使い方について考えていき、今後も東日本や能登半島地震などの教訓を学びながら、さらに防災教育を推進していきたいと、お話しいただきました。
■ トークセッション
事例紹介を実施いただいた方々に加え、防災教育チャレンジ委員会の3名が加わり、事例内容紹介内容に関するトークセッションを行いました。
<コーディネーター>
木村 玲欧 様(兵庫県立大学環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授/防災教育チャレンジプラン実行委員会 委員長)
<登壇者>
前田 優 様(株式会社リリーフ(アネシスグループ) 代表取締役)
木下 裕之 様(株式会社アネシス経営戦略本部 DX推進グループ 部長)
村上 陽明 様(熊本市教育委員会 健康教育課 学校安全班指導主事)
木下 史子 様(文部科学省 総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育調査官/防災教育チャレンジプラン実行委員会 委員)
舩木 伸江 様(神戸学院大学 現代社会学部社会防災学科 教授/防災教育チャレンジプラン実行委員会 委員)
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