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2021年度防災教育交流フォーラム

2021年度実践団体の紹介

「2021年度防災教育交流フォーラムの様子」

 去る2021年10月24日と11月6日に、オンラインで『2021年度防災教育交流フォーラム』が開催されました。
 今年度の防災教育交流フォーラムは、『防災教育と災害教訓の伝承-いかに時空の制約を超えるか』と題し、感染拡大防止のため昨年に引き続きオンライン開催としました。
 10月24日の中間報告会は、あらかじめ視聴した実践団体の活動発表動画を中心に、現在の活動における課題共有やこれからの方針など、実行委員をはじめとした参加者がディスカッションを行いました。
 11月6日は防災教育交流会として、ぼうさいこくたい2021と連携し、岩手県釜石市の会場から防災教育研究者による基調講演と、防災教育分野代表者らによるパネルディスカッションを行いました。
 下記に、防災教育交流フォーラムの様子をご報告いたします。

【10月24日(日):中間報告会】

■開会挨拶

村上 威夫様(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当))  開会挨拶では、村上 威夫様(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当))より、「防災教育チャレンジプランは、防災教育の場の拡大と品質向上に役立てるための共通の資産作りを目指す活動です。2001年から始まり、ちょうど今年で20年となります。かつては小・中・高等学校の実践活動から始まりましたが、近年ではそれに加え、大学、地域の協議会、コミュニティ団体等にも参加いただいております。本日は、実行委員が進行役となりブレイクアウトルームでの討議、そこでの議論を共有するためのクロージングセッションを行います。参加者には事前に実践活動の発表ビデオをご視聴いただいていますが、ビデオだけでは分からないことも多いと思います。意見交換を通じて、各実践団体の取組が共有されますとともに、実行委員からこれまでの経験を踏まえての貴重な助言が提供されることによって、今年度後半の実践活動が益々充実することを期待いたします。」とご挨拶いただきました。

 林 春男委員長(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 理事長)より、「コロナの影響は非常に甚大で、2年連続で中間発表会をオンラインで行うことになってしまいました。オンライン形式はいわゆるニューノーマルになるのかもしれません。これは、全国の様々な場所から人数の制約もなく参加でき、いろいろな方と情報共有できるという面では大変素晴らしいと思っています。また、録画による記録性ということでも格段に進歩しています。実践団体には事前に動画を作成していただきましたが、その内容も非常に優れており、ニューノーマルな時代を見事に先取りされていると思いました。一方で、オンラインは新たな繋がりが作り辛いという面もあります。そのハンデを補うというのが本日の中間報告会の一つの目標だと思います。事前に準備していただいた動画を種にして、実行委員、審査委員、実践団体など様々な立場からたくさん会話をしていただき、新しい気付き、新しい繋がりを作るという目的でたくさんのブレイクアウトセッションをご用意しています。是非チャレンジプランの一つの目標である、新しい繋がりを作るという面を強調して2時間半という時間をお付き合いいただければと思います。」とご挨拶いただきました。


■防災教育チャレンジプラン実践団体発表

 中間報告会は、2021年度防災教育チャレンジプランに取り組んでいる実践団体(12団体)が、コロナ禍での活動経過や今後の課題をZoomによるブレイクアウトルーム形式で共有し、実行委員からのコメント等をもとに2月の活動報告会までの活動をより良くすることを目的に開催されました。
 実行委員からのコメントは各実践団体へコメントシートとして後日配布され、良かった点や改善点、アドバイスなどが伝えられました。

下記(YouTube)にて、発表当日の模様をご覧いただけます。
(※データ容量が大きいため、表示に時間がかかる場合があります。)

開会挨拶、今年度の趣旨・概要の説明
https://youtu.be/nLt_Wnxyny8
実践団体発表動画
https://www.youtube.com/playlist?list=PLyCETxXAdkgCdj7_xgEeQZ0axR3670R8L
クロージングセッション、閉会挨拶
https://youtu.be/ySDcmf0mXEQ

 林 春男委員長より、全体講評として「事前に10分の実践動画の視聴を参加者に義務付けて行った中間報告会ですが、全体として良かったのではないかと思います。4つのルームを回りながら皆さんのディスカッションを聞いていましたが、どのルームも今までよりはるかに良い深い議論がされていました。そういう意味では、こういったICTをうまく利用することの可能性が見えたと思いました。今回12の実践を見ていて、4つのブロックに分けられると感じながら聞いていました。例えば、実践を通して最終的に身につけたいものは何かという所を明示した団体(倉敷市教育委員会、減災Days)、フォトロゲイニングやダンス、Googleといった新しいツールを紹介した団体(信州大学防災フォトロゲイニング実行委員会、岡山大学教育学部・酒向研究室、犬山市立楽田小学校)、災害リスクを減らすために知らなければいけない事を、ツールで学ぶ団体(糸魚川ジオパーク協議会、長岡技術科学大学、千葉県立銚子高等学校)、どのようにパッケージングするかプログラム編成の実践を聞かせる団体(名古屋市立工芸高等学校都市システム科/工芸防災チーム、京都府立東稜高等学校キャリアコースライフマネジメントクラス、京都市立塔南高等学校)。また、地元民とそれ以外の人との交流に取り組んでいる愛知県刈谷市井ヶ谷町内会体育部には特に期待しています。どの団体も一生懸命に取り組んでいて、特に動画作成の技術には驚きましたが、後半、益々皆様の努力に磨きをかけていただいて良いプロダクツになることを期待しています。」とお話しいただきました。

 最後に、村上 威夫様より閉会の挨拶として、「昨年に続きコロナ禍の中でのオンラインによる中間報告会ということで、手探りでの実施ということではありましたが、事前の動画作成、ブレイクアウトセッションでの討議などを通じ、実践団体相互の繋がりも育まれたのではないかと思います。林委員長から4つ、また、5つに各団体の取組をまとめられていましたが、私としても共通の課題や、手法についての議論がなされたことが印象的でした。例えば、ジオラマや模型作成などの共通の防災教育ツールの使い方についての議論や、大学生や高校生の皆さんが地域や小学校に入って防災教育を実践するやり方、コロナ禍でリアルの会議は難しいですが、逆にオンラインツールを使って遠隔地の有識者を巻き込むなど、そういった取組や工夫がされていたのではないかと思います。本日の中間報告会を契機として、各実践団体の活動と交流が一層深まることを期待しています。」とお話しいただきました。

【11月6日(土):防災教育交流会】

■開会挨拶

 開会挨拶では、村上 威夫様(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当))より、『釜石市と言えば思い出すのは、東日本大震災の時実践された小中学生たちの避難行動です。市内の鵜住居小学校と釜石東中学校の生徒570人全員が無事高台に避難できた事は全国的に注目され、釜石の防災教育が日本中に知られるきっかけとなりました。震災からちょうど10年となる今年、ここ釜石市で防災教育交流会が開催されることは大変意義深いことだと考えています。本日のテーマは「防災教育と災害教訓の伝承」です。コロナ禍により学校教育現場や地域のコミュニティ活動に大きな制約生じていますが、そのような中でもいかに時空の制約を超えて災害教訓を伝承し、防災教育を盛り立てていくか、まさに新しいチャレンジが求められていると思います。』とご挨拶いただきました。

■基調講演

林 春男様(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 理事長)

林 春男様(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 理事長) 『防災教育と災害教訓の伝承-いかに時空の制約を超えるか』をテーマにご講演いただきました。
 講演では、
『10年前に大変厳しい災害がここ三陸の地でありましたが、防災教育または、災害の教訓を伝えていくことの重要性が再認識されています。
 災害伝承を考える上で、神戸は「語り継ぎ」と言い、東日本は「伝承」という違いがあります。その違いとは、「語り継ぎ」は自らの体験を伝えることで、「伝承」は過去の体験した人の思いを受け継ぎ伝えていくことではないでしょうか。
 体験者以外が伝えていくにはいろいろな仕組みが必要です。長い時間、例えば千年残るものと考えたとき、「道」が有効ではないかと考えました。京都は碁盤の目に整備されていますが、それは千年残っています。東北で言えば、伊達政宗が慶長の津波を受けて波切をするような形で道を作りました。石巻街道と言われている今も賑わいのある道です。長い年月継続していくには防災の面も大切ですが、街の魅力というものも盛り立てる必要があると思います。そこで3種類の道を考えました。
 1.命を守る避難の道 2.賑わいの道 3.記憶の道 です。
 1.は安全に素早く移動できる道。ピクトグラムを使い誰でもわかりやすく国際基準も意識必要があります。2.は繁栄を支える道。人々がそこで毎日を充実して暮らせるようにしていくことが大事です。3.は過去の津波の到達点など災害の跡を示すものをつくる。並木道にするなど命あるものを育て記憶に残すために手をかけて守っていくようにしたら良いのではないかと考えました。また、サインを置く方法もあります。津波浸水高・電柱サインや東日本大震災メモリアル・マンホール蓋、解説板などいろいろな方法があります。
 経験していない人たちにこれから起こるであろう災害を乗り越える知恵を多様なメディアを通して伝えていくという活動が充実していければよいと思います。』
 とお話をいただきました。


■防災関係各界の代表者等によるパネルディスカッション

 防災教育分野代表者らにより、それぞれの災害体験や知見をもとにした取組の発表とパネルディスカッションを行いました。

<各位の取組紹介>

村上 洋子様(元釜石市立釜石東中 副校長)

○村上 洋子様
(元釜石市立釜石東中 副校長)

 『いのちのてんでんこ~釜石東中の災害を知ること伝えること~』をテーマに釜石東中学校の実践活動「EASTレスキュー」を中心とした東日本大震災時の自身の経験談、それを伝えていく方法として、学んだことを外へ発信していく重要性などを発表いただきました。

 

諏訪 清二様(兵庫県立大学 特任教授 / 防災教育学会 会長)

○諏訪 清二様
(兵庫県立大学 特任教授 / 防災教育学会 会長)

 『阪神淡路大震災の体験者は何を語るのか』をテーマに「語り」をする人の層の偏りの問題や「語り継ぎ」の意味、こども目線での災害体験、それを同年代へ継いでいく大切さ、学校教育としての語り継ぎについての問題提起などを発表いただきました。

 

北原 糸子様(立命館大学都市防災研究所 客員研究員)

○北原 糸子様
(立命館大学都市防災研究所 客員研究員)

 『災害の歴史をふりかえる意味-昭和三陸津波の「復興の歌」について-』をテーマに「復興の歌」の演奏、作詞をした当時の岩手県知事石黒英彦氏について、昭和三陸地震の被害から復旧・復興について、歌と防災教育などについて発表いただきました。

 

佐藤 翔輔様(東北大学災害科学国際研究所 准教授)

○佐藤 翔輔様
(東北大学災害科学国際研究所 准教授)

 『東日本大震災をどのように伝えるか』をテーマに過去の津波認識の有無の重要性、語り部の若い世代の育成について宮城県の実例、組織としての語り継ぎについて、遠方者の訪問学習への対応の現状について、語り部のコーディネーターの重要性などを発表いただきました。

 

○意見交換会

 各パネリストの活動紹介後、澤野 次郎様(災害救援ボランティア推進委員会 委員長)のコーディネートで「防災教育と災害教訓の伝承-いかに時空の制約を超えるか」をテーマにパネルディスカッション形式の意見交換を行いました。

下記(YouTube)にて、発表当日の模様をご覧いただけます。
(※データ容量が大きいため、表示に時間がかかる場合があります。
https://www.youtube.com/watch?v=CckN6lGb2J0

 なお、今年度の最終的な成果報告は、2022年2月12日(土)に開催する予定です。


【防災教育チャレンジプラン事務局】