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2011年度チャレンジプラン団体の紹介〜中間報告会の様子

2011年度実践団体の紹介

2011年度防災教育交流フォーラム

「2011年度防災教育交流フォーラムの様子」

有明の丘基幹的広域防災拠点施設  去る2011年10月15日・16日の両日、東京豊島区にある「立教大学池袋キャンパス」にて「2011年度防災教育交流フォーラム」が開催されました。
 今年度のフォーラムのテーマは、「3.11そのとき防災教育は活きたのか〜東日本大震災時の防災教育実践団体の行動と対応〜」とし、延べ人数251名の方にご参加いただきました。
 1日目は防災教育チャレンジプラン実践団体による中間報告会とグループワーク、2日目は専門家による講演と東日本大震災において、被災者や支援者となった防災教育に取り組む団体による発表と意見交換を行いました。

 下記に、防災教育交流フォーラムの様子をご報告いたします。

1日目:中間報告会

■開会挨拶

林 春男委員長(京都大学 防災研究所巨大災害研究センター センター長・教授)  開会では、林 春男委員長(京都大学 防災研究所巨大災害研究センター教授)より、今年度で第8期を迎える防災教育チャレンジプランの趣旨説明として、「実践団体のプランを実行委員と共により良いプランに磨き上げ、ホームページにプランを蓄積することで、他の皆さんが真似られるような素材作りをしていくことである。」とご説明いただき、「これまで実践をしてきた132団体のうち、11団体が東日本大震災の被災地地域だったが、幸いなことにこの中では犠牲者が出なかったのは、日頃からの成果が形になったと思っている。」とご挨拶をいただきました。
内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(地震・火山・大規模水害対策担当)越智繁雄様  また、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(地震・火山・大規模水害対策担当)越智繁雄様より、「東日本大震災を始め、台風12号や15号の被害に遭われた方々にご冥福とお見舞いを申し上げる。大規模な災害に備え、自助・共助・公助の全てにおいて防災対応力を高められるように、内閣府としてもサポートしていきたい。」とご挨拶をいただきました。
立教大学大学院21 世紀社会デザイン研究科 中村陽一教授  つぎに、フォーラム開催にあたり共催となった立教大学大学院21 世紀社会デザイン研究科の中村陽一教授より、「21世紀社会デザイン研究科では、NPOや危機管理について扱っており、東日本大震災を受けて、これまで取り組んできたことを問われている。4月と5月にもフォーラムを開催し、8月には被災地を訪問した。今回のフォーラムでは防災教育についての勉強をしたいと考えている。」とご挨拶をいただきました。


 

■防災教育チャレンジプラン実践団体発表

 2011年度防災教育チャレンジプランに取り組んでいる17団体が、これまでの活動経過や今後の課題を発表し、実行委員からのコメントをもとに2月の最終報告会までの活動をより良くすることが目的です。
 中間報告では、実際に被災した団体や被災地を支援した団体の活動の様子も多く報告されました。実行委員からのコメントはメモで各団体へ配布され、良かった点や改善点、アドバイスなどが伝えられました。
下記にて、発表当日の模様を映像にてご覧いただけます。
(※データ容量が大きいため、表示に時間がかかる場合があります。

諏訪委員(兵庫県立舞子高等学校環境防災科 科長)  総評として諏訪委員(兵庫県立舞子高等学校環境防災科 科長)から、3つのグループに分けて、17団体の良い点や今後の課題についてコメントをいただきました。

■グループワーク

 実践団体を3つのグループに分け、実行委員がファシリテータとなって、グループ内でテーマを掲げて意見交換を行いました。
 各グループでは、課題やその解決方法などが話し合われ、特に地域や学校、行政などとの連携方法や、継続していくための方法などが多く話題に上がっていました。
井上浩一委員(防災ネットワークプラン 代表)  グループワークの後、井上浩一委員(防災ネットワークプラン 代表)の司会進行の下、各グループの代表者が発表をし、全体での意見交換を行いました。
 様々な意見が交わされたあと、総括として井上委員より、「参加者を増やし、地域とのつながりを増やすという目的のためには、分かりやすい活動にする必要がある。」とコメントをいただきました。

2日目:防災教育交流会

■趣旨説明

 林委員長より、防災教育交流会の趣旨説明として「被災地地域のチャレンジプラン実践団体の他、ぼうさい甲子園とマップコンクールを加えた防災教育に関わる3つの取り組みで活躍した団体の報告を予定している。」「2012年度のチャレンジプラン募集は、通常の募集枠に加えて入門枠を用意した。3.11以降防災教育への関心が高まっている中、まずはやってみる助走期間として奮ってご参加いただきたい。」とお話をいただきました。

 内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(地震・火山・大規模水害対策担当)越智繁雄様より、中央防災会議による「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会報告」について、お話をいただきました。

 その後、21世紀社会デザイン研究学会会長 北山 晴一様よりご挨拶として、「学会では、3.11以降の日本と社会デザインを考えるとして、シリーズで公開講演会などを行い議論を深めている。単発の学会活動ではなく、研究者や被災された方の実践と共に活動をしていきたい。防災教育交流フォーラムが有意義な場になることを祈念する。」とご挨拶いただきました。

■基調講演

名古屋大学大学院環境学研究科 福和伸夫教授  午前は、防災教育チャレンジプランの実行委員でもある、名古屋大学大学院環境学研究科 福和伸夫教授より、「東日本大震災に学ぶ減災のための防災教育」をテーマに、被災地に学んだ反省として、理科と社会との連携、納得感、我が事感、教師のやる気をどう引き出すかなどについてお話いただき、最後に「単純なことから教えていく。プリンは下町、ようかんは大地。同じ地震でも敵の強さがまったく違う。引っ越す時にはより安全なところに、業者には必ず家具止めを徹底して欲しい。」と述べました。


■挨拶

平野達男 内閣府特命担当大臣(防災)  交流会にご参加いただいた、平野達男 内閣府特命担当大臣(防災)より、「日本は豊かな自然に恵まれている国であると同時に、災害に遭いやすい国土の上に成り立っている。今後起こりうる災害に備え、何が出来るかを考えなければならない。その基本となるのは防災教育である。皆さんの活動を通じて防災の体制の強化が図られることを期待する。」とご挨拶をいただきました。

吉岡知哉 立教大学総長  次に、吉岡知哉 立教大学総長より、「東日本大震災の発生から219日目、安心して生活できる環境に戻れますよう、心からお祈り申し上げる。」「災害に備えるために大学として感じた課題は3つ、大学を構成する一人一人の安全を確保すること、大学という空間の災害時の利用方法、地域・社会との関わり方である。普段から想像力豊かに考える必要がある。皆さんの活動が実りあるものとなるよう、祈念する。」とお話いただきました。


■被災者や支援者となった防災教育に取り組む団体の事例紹介と意見交換

 午後は、被災者や支援者となった防災教育に取り組む団体より事例紹介として、これまでの取り組みと東日本大震災後の経緯や取り組みのご発表をいただき、発表後は6団体と参加者を交えて意見交換を行いました。

あそびma・senka(岩手県盛岡市)

○あそびma・senka(岩手県盛岡市)

2009年度防災教育チャレンジプラン実践団体

 「非常に小さな活動です。その中で、たくさんのことが生きることを考え、命を守り、命を育む活動が地域に根付くことを祈っています。」とお話いただきました。

気仙沼市(宮城県気仙沼市)

○気仙沼市(宮城県気仙沼市)

2005年度防災教育チャレンジプラン実践団体

 「心配するあまり家に戻って被災した子、親が子供を迎えに来て連れ帰って被災した子もいる。子供だけでなく、“てんでんこ”の意識を持ってもらうよう働きかけたい。」とお話いただきました。

釜石市立釜石東中学校(岩手県釜石市)

○釜石市立釜石東中学校(岩手県釜石市)

2010年2011年度防災教育チャレンジプラン実践団体

 「ここまで子供たちの命を預かっているという重責を感じたことは無い。釜石の奇跡と言われているが、生徒は“当たり前のことを当たり前にやっただけ”と言っている。防災教育では語り継ぐことが大切であるので、ぜひ伝えていき、地域と共に歩んでいきたい。」とお話いただきました。

宮城県南三陸町立歌津中学校(宮城県南三陸町)

○宮城県南三陸町立歌津中学校(宮城県南三陸町)

2011年度防災教育チャレンジプラン実践団体

 「記録を残すことと、地域や保護者に元気になっていただきたいという課題を踏まえ、“震災記録部”“教育相談部”“生徒支援部”“地域支援部”の4つの部会で活動を行っている。今だからこそ、防災教育の必要性に異を唱えない。今後も取り組んでいきたい。」とお話いただきました。

岩手県立宮古工業高等学校(岩手県宮古市)

○岩手県立宮古工業高等学校(岩手県宮古市)

 【平成22年度ぼうさい甲子園 高校生の部 奨励賞受賞

 「津波が来るその日は誰にも分からない。消防もボランティアもすぐには来れないので、頼りになるのは地元の人である。これまでは、防災意識を高めるために津波模型を作って小中学校で実演をしてきたが、今後は復旧模型を作って宮古市に進呈したいと考えている。」とお話いただきました。

社団法人日本損害保険協会ぼうさい探検隊マップコンクール事務局

社団法人日本損害保険協会ぼうさい探検隊マップコンクール事務局

 「今年度の開催は、被災地からの“子供たちが次の世代に伝えなくてはならない。いまやるしかない”といった力強いメッセージと、被災外から多く寄せられた応援メッセージに後押しされ、例年の2ヶ月遅れでスタートしている。震災の経験を風化させず、前向きに残すために、このコンクールをうまく活用して欲しい。」とお話いただきました。

下記にて、事例紹介の模様を映像にてご覧いただけます。
(※データ容量が大きいため、表示に時間がかかる場合があります。

 事例紹介団体の発表後、フォーラムにご参加いただいた、内閣府特命担当大臣(防災)平野達男様より、感想として「いま、被災地では復興に向けて様々な取り組みが始まっているが、改めて思ったのは、今回の震災の教訓を語り継ぐことが大事である。政府も記録に残す必要があるが、基本は現地で活動をされてきた皆さん、色々な活動をされてきた皆さんの感性や感覚で語り継ぐことで大きな力としていただきたい。」とお話いただきました。

 そのあと、鍵屋一委員(板橋区 福祉部長 兼 危機管理担当部長(計画担当))がファシリテーターとなって、事例紹介団体の6団体を交えて、復興についての現状や今後の計画、課題、希望などの他に効果的な防災教育、そのために必要な地域との連携などについて、意見交換が交わされました。
事例紹介団体の6団体を交えての意見交換

 なお、報告会の一角では実践団体と事例紹介団体の活動をまとめたものや、冊子などが展示され、来場者の皆様は担当者と話しをしたり、熱心にご覧になったりしていました。  中でも、被災地の状況を撮影した写真や避難所で使うマルチパーテーションの展示が目を引いていました。


 最後に、林春男委員長より、今後教えていくべき3つの防災教育について、「第1は敵の姿、いま自分たちが直面しなければならない敵の姿はどういうものかをはっきりすること、これが防災や危機管理の第一歩である。第2は、被害を出さないようにどう予防すべきか、予防は万能ではないが一番基本の対処策であり、その頭の整理を教える必要がある。第3は、西日本で大震災が発災した場合に被害を乗り越え、回復するためのノウハウ、力、技術を教えていく方法を皆さんと一緒に考えていかねばならない。」「“津波てんでんこ”は究極の自立である。チャレンジプランは自立の心、連携する心をはぐくむ試みを支援していきたい。」とコメントを述べていただきました。


 実践団体の皆さんには、中間報告会での実行委員からのコメント、グループワークや各団体との交流の場で得たアイデアなどを反映させて、引き続きプランを継続していただいております。
 今年度の最終的な成果報告は、2012年2月11日(土)に「有明の丘基幹的広域防災拠点施設」で開催する予定です。防災教育にご関心のある方は、是非ご参加ください。

【防災教育チャレンジプラン事務局:鈴木里絵】