当科がこの取り組みを行おうと考えたのは、2018年9月の「北海道胆振東部地震」及び「台風24号」による広範な地域での停電の発生に、その端を発します。
当科では、前掲の2災害における被災状況から、「地域住民が停電時において安全に避難するためは、どのようにしたら良いのか。」及び「それらを遅滞なく可能とするために、まちづくりのツールとして、何か備えることはできないのか。」という目標を得て、具体的な取り組みを実施しました。
ここでは、生徒、教職員、地域住民、行政など様々な立場の方と次に示す取り組みを実施しました。
(1)停電災害に関するグループディスカッションと台風15号による被害状況調査の実施。
(2)夜間におけるモノの見え方に関する実験装置の製作とそれを目的とした予備実験の実施。
(3)地域住民の方等を対象にした「停電時避難の危険性」に対する啓発活動、ブラックアウトに関する実験の実施とその結果分析の実施。
(4)停電時でも安全に避難することができるようなまちづくりの検討と、それを具現化する取り組みの実施。
本プランにおけるパネル展示や停電実験を通して、停電時における避難の危険性について、幅広く地域住民や企業に対して啓発することができました。また、生徒はそれら活動への参加やそこでの成果をまちづくりに展開する方法を検討する過程を通して、日ごろの学びを深化させただけでなく、まちづくりと住民の関係性に対する理解を深めることができました。
加えて、イベント等における他者との関わり合いやプロジェクトを進める上での打ち合わせ等を通して、研究を行うことの意義を理解し、生徒自身の自己肯定感を大きく高めることができたことも成果として挙げることができます。