本校の学区は東日本大震災で壊滅的な被害を受けたが、現在の中学生・教職員は当時の記憶がほとんどない。生徒が学校に隣接する約90軒の災害復興住宅の住民への聞き取り調査等によって大震災の教訓を知り、「いのちの尊さ」について考えさせたい。それらの学びを石巻市総合防災訓練で、北上こども園や小学校、地域住民に伝える活動を通して、生徒・教職員など地域全体で「いのちの尊さ」を語り継いでいくきっかけを育んでいく。

本校のある石巻市の旧北上町は、北上川の河口部に位置し、川・海・山の豊かな幸に恵まれた地域です。北上中学校は高台にあり、津波の被害を免れた唯一の公共施設として多くの地域住民が避難し、ボランティア活動の拠点となりました。現在では学校近隣に北上こども園や小学校、消防署等ができましたが、人口は震災前の半分（約2,000人）まで減少しました。ようやくできた復興集団住宅では、ふるさとの伝統を語り伝えることが困難な状況となり、中学生が地域を巻き込んで「いのちの尊さ」を学び、発信していくことが、今求められている。